通則

要約

  1. 保険薬局は、調剤する医薬品の品質を保証する必要があります。
  1. 保険薬剤師は、医師からの処方箋が長期間にわたる場合や処方薬の長期保存が難しい場合は、分割して調剤することができます。また、後発医薬品に変更できる処方箋を提出した患者からの同意がある場合は、分割して調剤することができます。ただし、処方箋に記載された使用期間や用量を超えては調剤できません。例えば、4月3日に処方箋が交付され、使用期間が4日間、用量が10日分の場合、4月4日に5日分の調剤を受けた場合、次に10日に調剤を受けに来た場合、残りの5日分を全て交付できます。ただし、2回目以降は前回の調剤日を起点に、使用期間に記載された日数と前後7日以内になるように調剤しなければなりません。
  1. 分割調剤を行った処方箋は、必要な情報を記入し、調剤録を作成して患者に返却しなければなりません。
  1. 「リフィル可」欄に「✓」がある場合、リフィル処方箋として調剤を行うことができます。ただし、1回目の調剤を行うことができる期間は使用期間に記載されている日までで、2回目以降は前回の調剤日を起点に、前後7日以内になるように調剤しなければなりません。
  1. リフィル処方箋で調剤した場合、必要な情報を記入し、調剤録を作成して患者に返却しなければなりません。また、リフィル処方箋の写しを調剤録とともに保管しなければなりません。
  1. 処方箋には、残薬に関する情報提供が求められる場合があります。その場合、残薬分を差し引いた減数調剤を行った後、患者に残薬の状況を報告し、情報提供する必要があります。
  1. 後発医薬品調剤体制加算や後発医薬品に関する規定については、「診療報酬における加算等の算定対象となる後発医薬品」等を参照してください。
  1. 調剤報酬点数表の一覧や説明を、患者が理解できるように掲示し、必要に応じて説明しなければなりません。
  1. 週単位や月単位で算定される場合は、それぞれ1週間または1か月を単位として算定しなければなりません。
  1. 署名が必要な文書については、自筆の署名がある場合は印鑑は必要ありません。

原文

1 保険薬局は、当該保険薬局において調剤される医薬品の品質確保について万全を期さなければならない。
2 保険薬剤師は、医師の分割指示に係る処方箋又は投与日数が長期間にわたる処方箋によって調剤を行う場合であって、処方薬の長期保存の困難その他の理由によって分割して調剤する必要がある場合には、分割調剤を行うこと。また、分割調剤を行う場合(上記の場合のほか、後発医薬品(ジェネリック医薬品)への変更が不可の場合の署名欄に処方医の署名又は記名・押印がない、又は署名欄に処方医の署名又は記名・押印があるものの「変更不可」欄に「✓」又は「×」が記載されていない先発医薬品がある処方箋(以下「後発医薬品への変更が可能な処方箋」という。)を提出した患者の同意に基づき、処方箋に記載された先発医薬品を初めて後発医薬品に変更して調剤を行う場合であって、当該患者の希望により、分割調剤を行う場合を含む。)は、その総量は、当然処方箋に記載された用量を超えてはならず、また、第2回以後の調剤においては使用期間の日数(ただし、処方箋交付の日を含めて4日を超える場合は4日とする。)と用量(日分)に示された日数との和から第1回調剤日から起算して当該調剤日までの日数を差し引いた日分を超えては交付できない。例えば、4月3日交付、使用期間4日間、用量 10 日分の処方箋で4月4日に5日分の調剤を受け、次に 10 日に調剤を受けに来た場合は(10+4)-7=7であるから、残りの5日分を全部交付して差し支えないが、もし第2回の調剤を4月 13 日に受けに来た場合、(10+4)-10=4となるので4日分しか交付できない。
3 保険薬局において分割調剤を行い、当該薬局において調剤済みとならない場合は、処方箋に薬剤師法(昭和 35 年法律第 146 号)第 26 条に規定する事項及び分割理由等の必要な事項を記入し、調剤録等を作成した後、処方箋を患者に返却すること。
4 保険薬局において、「リフィル可」欄に「✓」が記載されていた場合、当該処方箋を「リフィル処方箋」として取り扱い調剤を行うこと。リフィル処方箋による調剤を行う場合は、1回目の調剤を行うことが可能な期間については、使用期間に記載されている日までとする。2回目以降の調剤については、原則として、前回の調剤日を起点とし、当該調剤に係る投薬期間を経過する日を次回調剤予定日(実際に投薬が終了する日)とし、その前後7日以内とする。
5 保険薬局においてリフィル処方箋による調剤を行い、当該薬局において調剤済みとならない場合は、リフィル処方箋に薬剤師法第 26 条に規定する事項及び次回調剤予定日等の必要な事項を記入し、調剤録等を作成した後、リフィル処方箋を患者に返却すること。その際、必要な事項が記入されたリフィル処方箋の写しを調剤録とともに保管すること。なお、当該リフィル処方箋の総使用回数の調剤が終わった場合、調剤済処方箋として保管すること。
6 処方箋において、残薬分を差し引いた減数調剤(調剤録又は薬剤服用歴の記録等(以下「薬剤服用歴等」という。)及び残薬の外形状態・保管状況その他の残薬の状況を確認した上で、処方箋に記載された医薬品の数量を減らして調剤する業務をいう。)を行った後に、残薬に係る状況を情報提供することで差し支えない旨の指示があり、当該指示に基づき調剤を行った場合は、保険薬剤師は、患者に対して次回受診時に処方医へ残薬の状況を報告することを促すとともに、患者の残薬の状況、その理由及び実際に患者へ交付した薬剤の数量、患者への説明内容等について、遅滞なく当該調剤に係る処方箋を発行した保険医療機関に情報提供すること。
7 調剤基本料の「注7」の後発医薬品調剤体制加算及び「注8」に係る後発医薬品については、「「診療報酬における加算等の算定対象となる後発医薬品」等について」(令和4年3月4日保医発 0304 第7号)を参照すること。
8 保険薬局は、患者が薬局における業務内容及びその費用を理解できるよう、調剤報酬点数表の一覧等について、薬剤を交付する窓口等、患者が指導等を受ける際に分かりやすい場所に掲示するとともに、患者の求めに応じて、その内容を説明すること。
9 算定回数が「週」単位又は「月」単位とされているものについては、特に定めのない限り、それぞれ日曜日から土曜日までの1週間又は月の初日から月の末日までの1か月を単位として算定する。
10 署名又は記名・押印を要する文書については、自筆の署名(電子的な署名を含む。)がある場合には印は不要である。
参考:診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)【令和4年3月4日保医発0304第1号】別添3調剤報酬点数表