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地域住民に信頼される「かかりつけ薬局」を目指して-患者満足度調査分析結果から-

目的

徳島県西部地区では、少子高齢化が進行し人口減少が続いています。同時に65歳以上の高齢者は30%以上となっています。保険調剤業務だけでは、多様化する医療ニーズに対応できなくなる一方で、薬局・薬剤師の役割や価値を見直す機会が訪れています。『かかりつけ薬局』として、地域住民から信頼される新しい薬局・薬剤師の役割や価値を創造するための第一歩として、患者満足度調査を実施しました。

方法

グループ薬局4店舗で、計1,190枚の返信用封筒を付けたアンケート用紙を配布しました。第三者機関に調査を依頼することで、参加者が自由に意見を記入できるよう配慮しました。

結果

アンケート用紙486枚を配布し、回収率は40.8%でした。満足度は93%以上と高い結果となりました。高齢患者が多い店舗では、患者さんからの信頼度が高く「かかりつけ薬局」となっているのに対し、小児患者の多い店舗では「かかりつけ薬局」としての評価が50%未満と低い結果となりました。薬局利用の理由で最も多かったのは「病院から近い」であり、次いで「丁寧な説明」、「スタッフ対応が良い」であり、その他には「待ち時間が短い」や「よく話を聞いてくれる」などが挙げられました。

考察

当グループ薬局を選択している理由の第1位が「病院から近い」ということから、現在提供している医療サービス内容では立地以外の決定的な違いが見いだせていないことが分かりました。調剤薬局は差別化しにくい業態ではありますが、立地以外の価値を創造する必要があることが明らかになりました。徳島県西部地区は、3大生活習慣病が全死亡の5割強を占め、特に糖尿病による死亡割合は全国平均よりも高いため、「かかりつけ薬局」が生活習慣病予防に担う役割は重要です。地域住民の健康問題に対し、積極的に情報発信する必要があるため、「かかりつけ薬局」として多様な医療ニーズに対応することで地域医療に貢献し、住民に信頼される「かかりつけ薬局」への第1歩を踏み出したいと考えています。