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第55回中国四国支部学術大会

2016年11月5日から6日の2日間、第55回日本薬学会・日本薬剤師会・日本病院薬剤師会中国四国支部学術大会が岡山県で開催されました。この学会の最大の特徴は、オール薬学の学術研究発表が行われることです。日本薬学会、日本薬剤師会、および日本病院薬剤師会が共催することで、基礎薬学から薬剤師職能まで幅広い職域の薬剤師・薬学者が参加していました。

1.学会会場

今年の学会は、岡山県岡山市の就実大学で開催されました。岡山県には、黒漆塗が特徴の「岡山城」や、日本三名園のひとつ「後楽園」、そして2年前にオープンした西日本最大級の旗艦店「イオンモール岡山」など、中国・四国地方の文化・商業・交通の要衝として発展し続けています。今回の学会では、岡山駅から山陽本線1駅目の「西川原・就実駅」から徒歩1分の就実大学を会場として使用しました。

2.発表とポスターセッション

クラウドサービスを活用したスポーツファーマシストチーム内の知識共有

徳島県薬剤師会公認スポーツファーマシストプロジェクトチームとして、上記の演題をポスター発表しました。日常の薬局業務でドーピング関連の相談は決して多くありません。過去のドーピング防止の相談事例の共有や円滑なコミュニケーションをクラウドサービスを活用することで、スポーツファーマシストが相談者への対応を迅速に行うことができます。まだ実験段階であり、今後の実績を積んでいく必要があります。ドーピング防止関連の発表は希少であるため、他県のスポーツファーマシストたちにも声をかけていただけました。

吸入指導の実地状況とその結果の分析〜医師から吸入指導依頼を受けて〜 スター薬局大野原店

近年、多くの吸入薬が発売されたため、デバイスの種類や操作方法が異なり、吸入が不適切なまま治療を続けている場合が少なくありません。この発表では、コンプライアンス、準備操作、吸気量、息止め、pMDIによる吸気の同期など、各段階で多くの問題が報告されています。また、70歳以上の患者では、手技の問題で指導時間が延長する傾向があるとされています。
この薬局では、水剤容器と100円均一のスポンジシートでスペーサーを自作していました。コストも安く、使い勝手も良さそうです。

対物業務から対人業務へ 〜当薬局における実態調査〜 サンヨー薬局

今回の学会で、意外にも「かかりつけ薬剤師」関連の発表が少なかったように感じました。しかし、中でも貴重な発表がサンヨー薬局さんからありました。サンヨー薬局さんでは、外来服薬支援算定対象者の75%がかかりつけ薬剤師の同意を得ていたとのことです。つまり、かかりつけ薬剤師制度の導入により、対人業務にシフトしたことで外来服薬支援の算定が増加したわけです。

3.まとめ

今回の学会のテーマは、「薬学のプレゼンス向上を目指して~目に見える薬・薬・薬連携~」でした。プレゼンスとは、存在感という意味です。スポーツファーマシストの存在感はまだまだ発展途上ですが、地道な活動や自己研鑽、活動報告や成果を積み重ねることが、プレゼンス向上において重要だと考えられます。
 
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クラウドサービスを使った知識共有やコミュニケーションについての話題でしたが、発表から6年以上が経って懐かしいツールが多くなりました。現在でも使っているのはGoogleくらいかな。当時はZoomも数あるサービスの中の1つでした。技術の進化は凄まじく、驚かされます。